右余極説
右翼ではなく余り極端でもなく説明したい(笑)
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利権の構造がかろうじて守ってきたもの
利権や癒着の構造が批判されています。それは当然のことかと思いますが、よく考えてみると、かなり皮肉なことでもあると思います。今日は利権の構造の別の側面についてちょっと考えてみたいと思います。
たとえば日本の農業や畜産業を考えてみると、当然のことならがそこには政治家までふくめた利権がありますが、食料の供給という事に関して考えてみると、興味深い事がわかると思います。

食料の自給というのは、国の安全保障ともかかわる問題であり、経済効率やグローバリズムに流されてむやみに自由化すると、将来的に国の存続を危うくする要因にもなりかねないものです。

ただでさえ日本は先進国の中でダントツに食料自給率が低いわけです。今後、世界のどこかの地域で気候変動があったときや、戦争が勃発して情勢が不安定になったときには、他国からの食料供給がストップして危機に陥るということも考えられないわけではないでしょうし、その国の国民の命にもかかわる問題ということで、国民への食料供給というのは、これは防衛問題にも匹敵する安全保障も問題でもあるのです。

特に、穀物というのは戦略物資でもある。北朝鮮があれだけ軍国主義国家でありながら、結局は中国の属国でしかないのは、やはり穀物というか食料が自給できていないからでしょう。あれで農業国でもあったとしたら、その日本への脅威は数倍にふくれあがっていることと思われます。

その穀物の自給率ですが、日本はたった27%です。ちなみにアメリカは119%、フランス186%、工業国のドイツですら111%、イギリス109%ということで、日本はあまりにお粗末すぎます。

結局、国民の命にかかわる穀物の供給の大半を他国に委ねているわけで、食料自給という点からも日本は他国に自国の運命を委ねる、未だ独立できていない国だと言えるでしょう。

日本は憲法9条やら日米安保やらで軍事的な独立を保つことが難しいのですから、せめて食料の安全保障くらいはしっかりしておかなければならないところが、軍事的な脅威にすら鈍感になってしまった日本人は、そんな事には到底気づかないという事なのでしょう。

それから、食料の安全性というのはその国によって違うので、輸入にばかり頼っていると、安いが危険という食品が入ってきて、何かあったら消費者の自己責任ということにもなりかねないわけです。

しかし、一般の消費者はそんな事を考えないから、食料が安くなれば無邪気に喜ぶだけでしょう。今後、格差拡大で貧困層が増大すると、ますますそうなるでしょう。消費者の側は、商品の選択には公的な意識は一切なく、ひたすら安さを求める私的な関心があるです。

ただ、これほどまでに国民の食料安全保障への意識が低くても、幸いなことに、これはまでは、畜産にしろ農作物にしろ、それほど自由化されてこなかったところがあります。

そこで面白いというか残念な事は、そうやって、日本の農業や畜産業、食の安全性などを守ってきた構造というのが、実はそれら業者と政治家とのズブズブの癒着というか利権の構造だたっという皮肉です。

そうした利権の構造が、かろうじて国の農畜産業をどうにか維持してきたということがあります。彼らにしろ、決して公的な意識からというより、お互いの私欲、政治家は国のためというより政治資金のため、そして農畜産業者は食料安全保障を担っているというよりただ単に自分たちの生活のためだけにそういう関係を維持していたにすぎないところがあります。

結局日本には、消費者から生産者、政治家に至るまで、「公」を一切考えず、ひたすら私的な関心しかなかったということでしょう。それでもかろうじて維持されてきた部分があったという事です。

ですから、そういう政治家なり業者なりの利権の構造が道徳的にけしからんと言われて非難されるのは当然かとは思いますが、しかしその構造をただ壊しただけで無邪気に喜んでいられるものでもないのです。

結局、消費者も目先の安さに飛びついて国の安全保障だとか将来の危機への備えなんてことは考えないし、国内の農畜産業がどうなろうが知ったことではないという意識なわけでしょう。そういう消費者にすぎない人間に、利権の構造を批判する資格もないと思います。

そもそも農畜産業などほとんど儲けになりにくい、みな補助金だとかそういうのでどうにかやっている部分が多い、ある種の公共事業みたいなものという側面もあるわけですが、しかしそういうものを維持してゆくというのは絶対に必要な事だと思います。

国の独立・主権や安全保障の問題でもあるわけですから、軍隊を持つかどうかと同じような次元の話でもあると思います。

農畜産業者とズブズブの関係の利権政治家は抵抗勢力として前の選挙でかなり一掃され、今や影響力を失ったか引退してしまった人たちが多いようですが、それを「改革」と言って無邪気に喜べる状況ではないと思います。

「改革」によってこれまでの利権構造はある程度崩されたんでしょうが、しかし経済に関しては経済財政諮問会議とか規制改革・民間開放推進会議が、また教育に関しては教育再生会議や教育課程審議会あたりの御用財界人・御用学者・御用文化人ら、つまり選挙で選ばれたわけでもないド素人たちが好き放題・やりたい放題して、中には「改革」を自分たちのビジネスチャンスに利用し、あらたな政府との癒着の構造、利権の構造を作り上げてしまったようなものまであり、こっちのほうがタチが悪いように思えます。

利権の構造がなくなったのではなく、よりタチの悪い利権の構造が新たにできているだけでしょう。だいたい利権がなくなると思うのが愚かで、政治というのは利権の調整なのですから。

食品関係で言えば、今度はあらたに、大手食品卸業界やら食品チェーン店業界のようなところから献金を受けているような政治家が力をつけてきて、そこに新しい利権の構造ができあがって、彼らは大量に安い農産物や食肉を輸入して日本の農畜産業を破滅に追い込むと思われます。

消費者は私的な関心しかないもんだから、ただ食い物が安くなったとか便利になったなどと言って無邪気に喜んで安さだけが売りの外食チェーン店に群がっているのが現状です。

規制緩和もあって、これらの産業が日本中どこへ行ってもそこらじゅうにあるために、景観は破壊され、シャッター通りが増え、日本中の食が画一化されて地域の特産物は廃れ、日本人の食生活はボロボロになり、食の安全も食糧自給による安全保障も危機に向かっているというのに。

エサに群がる魚の如く、ひたすら安さと便利さに群がる、そういう単なる消費者に過ぎない者たちが、利権の構造を批判して自分たちだけ正義に酔いしれている様は、あまりに滑稽ではないかと思います。

ヨーロッパ人はもうちょっと賢くて、マ○ドナルド的なものに対してはスローライフとかロハスというスローガンで対抗しているようですが、日本に入ってきているロハスなんて、一番ロハスをぶちこわすような業界がそれを謳ったりして、明らかに歪められて本来の意図から逸脱したものになっているようですし。

結局、消費者も生産者も業界も政治家も、皆が公共精神を失ってしまっているために、日本は少しずつ滅亡に向かっている、そう分析するしかないんじゃないか?と私は思います。

では、どうすれば良いか。

まあどうしようもない、どうにもならんとしか言えないでしょう。

対案がないなら批判するな!とか乱暴な事を言う人が最近多いですが、しかしどうにもならないけど、おかしいものはおかしいとしか言いようがないという事です。

(穀物自給率の話のところだけ、この本をちょこっと参考にしました)
「改革」にダマされるな! 私たちの医療、安全、教育はこうなる 「改革」にダマされるな! 私たちの医療、安全、教育はこうなる
関岡 英之、和田 秀樹 他 (2007/04/12)
PHP研究所

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コメント
この記事へのコメント
bo
中国産の農薬重金属がいっぱい入っている野菜がはいってきても、利権の構造を批判して自分たちだけ正義に酔いしれている様は、あまりに滑稽ではないかと思います。
結局、消費者も生産者も業界も政治家も、皆が公共精神を失ってしまっているために、日本は少しずつ滅亡に向かっている
bo | URL | 2007/04/20 (金) 18:43:30 [編集]
ささやかな抵抗
日村さま、お久しぶりです。
この問題も、談合などと同様、単純な正義感を振りかざしても的外れになるような気がする話ですね。

わが家では、食品についてはこのような問題も若干意識してまして、なるべく国内産で素性がハッキリしているものを買うことにしています。(加工食品などで「国産○○使用」と偽装されているものは手の打ちようがありませんが・・・)

その際、なるべく農畜産物の価格破壊を忌避する(安物の食品は買わない)ようにして、及ばず乍ら生産者の利益が確保されるよう配慮しています。
生協なんかは、配達が週一で利便性が低く、値段もあまり安くはないのですが、生産者の顔が見える商品が多いことと、生産者へのリターンが確実に思えるために利用しているような感じです。

まあ、実際には購買の大部分を嫁さんが担ってるのですが、こんな考え方に賛同してくれている(一応)ので、嫁さんには感謝しないといけないですね。
海驢 | URL | 2007/04/20 (金) 21:51:53 [編集]
江戸(時代)に関する著書を多く書いている石川英輔さんの作品の中に「2050年は江戸時代」というSFモノがあります。21世紀の初旬に途上国での人口爆発と異常気象なんかが原因となって世界で食料危機が起こり食料依存率(?)の高い工業国の日本が必要に迫られて国家改造みたいなことを経て農業国に変わって行くというお話です。今日のエントリーのように指摘されるとそのSFが現実になるんじゃないかと恐怖を感じます。なんとかしないといけませんねぇ。
踊れドールズ | URL | 2007/04/21 (土) 23:05:01 [編集]
>利権の構造がなくなったのではなく、よりタチの悪い利権の構造が新たにできているだけでしょう<
私はこれを“プレーヤーは一変したが、アンシャンレジームがインサイダーサークルに置き換わっただけ”と表現しています。
ただ、後者がましなのは、連中は主にマーケットで利益を得るので“見えやすい”。 ホリエモン騒ぎの後、時間外取引、株分割に対して直ちに規制がかかったごとく、かつてのアンシャンレジームなら、それこそヤクザにでもお願いするしか無かったのが、法の整備で対応可能な領域として
浮き上がって来た感が有る。
未だ見ていませんが『ダーウィンの悪夢』というドキュメンタリーが評判ですね。 コンビニ弁当の白身魚フライは“ナイルパーチ”なのだとか。
“足るを知る” 私(40代半ば)が子供の頃は、未だ説得力の有る言葉だったと思います。 しかし今の経済は“足りたと思うな”で成り立っています。 日本だけで回るシステムに戻すことは不可能、絶対的に。(経済の現場で働いていて、これが分からないなら白痴) 
ならば、どうする? “まあどうしようもない、どうにもならんとしか言えないでしょう”  その通り。 
ただ、最近私は“ささやかな尖鋭”を失わない、ことを自らに課すことにしています。 3本100円より1本98円の長ネギを買うとか、白身魚定食は買わないとか.....、そう海驢の“ささやかな抵抗”と同じような事です。 でもね、金融の世界でもSRIが注目されたりしていますから(このあたり、欧米のいわゆる“リベラル”の底力を感じます)、望みは持ち続けなきゃ。
rice_shower | URL | 2007/04/22 (日) 03:00:45 [編集]
これが保守というもの
  感激しました。朝鮮を罵倒するだけで保守面をしている人々の鼻面に押しつけてやりたいほどの正鵠を射た文章です。

>利権の構造がなくなったのではなく、よりタチの
>悪い利権の構造が新たにできているだけでしょう。

  これは、郵政公社と奥井礼子とかいうクズ経営者と癒着の一件でもよくわかりました。それを指摘しているのが、なんともはや時代遅れになりつつあると思われていた共産党というのは、何という皮肉でしょう。

>そもそも農畜産業などほとんど儲けになりにくい、
>みな補助金だとかそういうのでどうにかやっている
>部分が多い、ある種の公共事業みたいなものという
>側面もあるわけです

  これがわからない人が多いんですね。我々は、日本という一つの家に暮らしている家族のようなものです。
  都会のサラリーマンや主婦は「地方交付税はおかしい」だの「農業補助金は廃止しろ」などと思っているようです(自分も昔はそう思っていた時期がありました)が、彼らの考え方は、一軒家に住んでいる子供が「自分の部屋さえ有れば、台所も勝手口もいらない」と主張しているのと同じなんですね。見えにくいところで、台所や勝手口の機能に支えられていることがわかっていない。
  行政改革の名の下に地方を切り捨てるまるで、手足は邪魔で要らないから頭部だけ残してくれと言っているようなものです。それで得をするのは、輸入業者と輸入相手国、そして彼らに資金を供給する金融資本だけです。
  結局近代化というのは、明治以降そうやって大規模な投資を成功させたい勢力が、在地勢力(農村の武士や地主)を駆逐していった過程なのではないでしょうか。そして、それは現在進行形だと思うのです。
  統一地方選挙で、自民党が議席を減らしていることからも、地方ではささやかな抵抗が始まっているものと思われます。しかし、都市に本拠を置くマスコミは、またぞろ地方にいる「抵抗勢力」を指弾するのでしょう。そして、地方は不要という世論が形成されていく。
  得をしているのは、ごく一部の勢力だけです。なぜ、みんな気づかないのでしょう。このブログをもっと多くの人に見ていただきたいです。
ろろ | URL | 2007/04/22 (日) 14:22:17 [編集]
>boさん

そうですね、中国産の危険な野菜が入ってきていますが、これすらもいずれは難しくなる可能性もあります。中国が今後成長すれば、すでに食料の争奪戦ははじまっているのですから。危険なことです。

>海驢さん
我が家も似た感じですが、しかしそれはある程度収入のある、というかまあ中流くらいの家庭ならどうにかできることと思いますが、今や貧困層が日本でも増大中ですから、やはり高いものは買いたくても買えない、背に腹はかえられないとなりつつあると思います。つまり、日本の格差拡大は、食料供給で日本をコントロールしたいアメリカにとっても、都合が良いという側面もあるのではないかと、ちょっと陰謀論と言われるかもしれませんが。しかし、そういう点からみて、中間層の破壊は、やっぱり国益にならないと思いますので、「格差があってあたりまえ」と言っているのは脳天気なバカだと思います。

>踊れドールズさん
いずれ工業化は行き詰まると思いますが、工業国のドイツでも食糧自給率は高いのですから、もっとそういう事を考えるべきだと思います。安全保障でもあるわけですから。


>rice_showerさん
私はこれを“プレーヤーは一変したが、アンシャンレジームがインサイダーサークルに置き換わっただけ”と表現しています。
なるほど面白い表現ですね。ただ、仮に後者が多少マシだったとしても、変えることによる混乱というものがありますし、インサイダーサークルも長いことやっていると、いずれアンシャンレジームになるということで、私はむしろ差し引きしてマイナスにしかならないという認識です。

『ダーウィンの悪夢』は私も見てみたいですね。

>しかし今の経済は“足りたと思うな”で成り立っています。 日本だけで回るシステムに戻すことは不可能、絶対的に。(経済の現場で働いていて、これが分からないなら白痴) 

その通り、そういう発想が主流ですから、そうかもしれませんが、しかしよく調べてみると日本の経済の貿易への依存度は10%ほどという話ですから、それも怪しいのではないか、もちろん急にはどうもならないでしょうし、今の部分的好景気も輸出との関連ですから、国内型にすることはやはり不可能かもしれませんが、

貧困層の増大と金融中心の経済とかグローバリズムをおしすすめるのはやはりただでさえコントロールが難しい経済をよけいに制御困難な不安定にさらすことにしかならないと思います。それとは反対の方向を模索するのが賢明だと私は思いますが・・・。

>ろろさん
まあ奥谷だけでなく、オリックスの宮内とか言うのもひどいと思いますがね。農業をどうするかは難しい問題で、ただ金をばらまくだけでうまくゆくとも思えませんので、なんとか農家の方々がプライドを持ってやってゆけるようになってくれたらと、そういう制度を何とかできないかなあと思います。
日村春介 | URL | 2007/04/23 (月) 09:31:45 [編集]
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