右余極説
右翼ではなく余り極端でもなく説明したい(笑)
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日米で正反対な「保守」の定義
さて、昨日書きかけて今日にまわしたテーマです。これも実は過去に書いたことですが、先日、産経の古森記者のブログを読んで、また書いておきたいと思ったので、多少修正して転載しておきたいと思います。

後半部分は転載ではなく、今回新しく書いた文章になっています。
日米で正反対な「保守」の定義

昨日はポチ保守度チェックというのをさせていただきましたが、次いでちょっとこの「保守」という意味の日米での違いについて考えてみたいと思います。日米ではその性質がずいぶん違うものだからです。

性質が違うどころか、日本の保守はアメリカの保守とは180度反対のものであると言ってさしつかえないと思います。唯一の共通点は「家族を大切にすること」くらいでしょうか。根本的なところでは正反対と言って良いと思います。

ですから、日本の保守派を自称する者がアメリカの保守派に思想的な親近感を感じるというのは、かなり倒錯したことだと思います。

もっとはっきり言って、アメリカの、たとえばネオコン(ネオコンサーバティブ=新保守主義)に思想的な親近感を感じる日本の「保守」がいるとしたら、それはニセモノの保守だと言えると思います。

別に親近感など感じずに同盟関係を守るためにつきあうだけというのならば、一つの考え方として「倒錯」まではしていないと思いますが・・・。

同じ「保守」を称しつつも、日本とアメリカではその中身はまるで異質で正反対のものだということをしっかり確認しておかなければなりません。

いきなり日本とアメリカを比較するよりヨーロッパを考えてみればわかると思います。

ヨーロッパで保守=コンサーバティブといったときには、歴史・慣習・伝統を大事としようという当たり前のことですが、アメリカというのは、そうしたヨーロッパから離れて理念で作り上げた実験国家であり、その建国の精神は歴史から切り離されたところで個人主義や自由主義を最大限に掲げた、ヨーロッパでならば歴史破壊として警戒されるものがアメリカにおける保守になってしまっているなわけです。

(注・実はこの部分は細かく見るとちょっと不正確で、ハンナ・アレントによると、アメリカ独立革命および建国の精神そのものは、古き良き価値観を再巡させるという意味での「革命」ではあったのですが、その後のアメリカが進歩主義へと変わって行ったそうです。いずれ別で詳しく書きます。)

つまり、保守という言葉に関してはアメリカはかなり特殊なものだし、アメリカ的な保守主義を日本に持ち込めば、それは日本という国の歴史・慣習・伝統を破壊しかねない、つまりそれは保守ではなくなるのです。

ですから、親米保守というのが、「アメリカとは国としての理念は違っても同盟国としてつきあってゆきましょう」というレベルを超えて、「日本もアメリカのように自由と民主主義をとことん大切にする」とか、「それこそが共通の守るべき価値だ」とか言って両国を同じような視点で見ようとするのは、日本の保守主義者が取るべき立場ではないのです。

ヨーロッパ的保守とアメリカ的保守という言葉の定義から日本を見ると、戦前と戦後がちょうどそれぞれに当てはまると思います。

ヨーロッパ的保守や、本当の意味での日本的な保守であるなら、戦前までの長い日本の歴史・慣習・伝統も大切にするはずです。日本の戦後はそれらを否定してきました。日本の戦後は保守的ではないのです。

一方、アメリカ的保守ならば、戦後の日本が大好き、つまり、日本の歴史・慣習・伝統なんかどうでもよくて、壊せば壊すほど進歩だと考える人々なわけです。

なぜならば、日本国憲法は歴史を顧みず自由・民主主義・人権と言ったアメリカの理念が極端な形で示されたもの、アメリカ人が理想として描く国柄が示された(アメリカに押しつけられた?・・・いえいえ日本人が「押し戴いた」)ものだからです。

アメリカの保守は日本やヨーロッパの保守とは違う、もっと言えば、アメリカに保守なんていないとすら言えるんではないでしょうか。

アメリカの保守主義は日本に来れば単なるリベラリズムにすぎません。アメリカ人は社会主義的な事や左翼的な事をリベラルと言いますが、日本人から見ればアメリカの保守主義はリベラリズムの亜種ということでしなないのです。

念のため断っておきますと、自由や民主主義が大切であることはその通りですが、個人の自由や民主主義が我が国の歴史の物語を否定し、慣習の体系を破壊し、伝統の精神を放棄するようであれば、場合によっては自由や民主主義に制限を加えることもありうる、自由や民主主義の暴走からそれらを守るくらいの構えを示すのが日本の保守なのです。

では、どうして保守の概念がこんなに混乱してしまったのか、それにはいくつか理由があると思いますが、前のエントリーでjtakeさんが書いてくださったように、サッチャーおよびレーガンを純粋な保守と思っている人が多いからだと思います。

もともとは、保守主義と進歩主義、自由主義(=個人主義)と社会主義と4つに別れているのが健全な姿だと私は思います。

ところで、過激な進歩主義(=革命)を背景とした社会主義である共産主義の脅威が高まっていた時期、その流れに対抗するためには、保守主義と自由主義が反共で組む必要がありました。その結果生まれたのが、サッチャーやレーガンです。

したがって、サッチャーやレーガンは、あくまでその時代の必要(=反共)という背景から生まれたキメラにすぎないのであって、本来の保守とは別物です。

共産主義革命の脅威が無くなった現在においては、保守主義はむしろ行き過ぎた自由主義という名の個人主義から決別して、本来の保守主義に回帰すべきでしょう。

そして一歩すすめて考えると、現状では新自由主義の脅威が吹き荒れているわけですから、どちらかと言えば、保守主義は「共同体という社会」を大事にする「主義」、つまりある種の社会主義と組むべきとすら思います。

家族や地域社会、その先の国という社会を大事にするという面で考えれば、保守主義と社会主義は共通項があります。ネオリベより遙かに近いと言えるでしょう。

問題は、日本の社会主義者は破壊主義者でもある、反権力が行き過ぎて、反国家、反日である、昔ながらの共同体を守ろうともしない、経済的に左派なだけという人たちが多いことです。

したがって、日本では、本物の保守というのは、孤立した勢力になりがちなのだろうと思います。

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コメント
この記事へのコメント
アメリカでは自由・民主主義という日本やヨーロッパでは左翼的価値観に類する概念を、右左ともに共有しています。ではなぜ共和党は保守で、民主党はリベラルだと言われるのか。それは経済政策の違いでもありますが、むしろその要素は少なく、もっとも大きい点は宗教に関する考え方の違いだ、という説があり、非常に興味深く読んだことがあります。
つまり共和党(=保守)は宗教(アメリカにとってはキリスト教プロテスタント)に忠実であり、民主党(=リベラル)は宗教に関しては個人の選択を重んじる、ということです。
考えてみればカトリックであるということで話題にもなったケネディは民主党でしたし、その指摘は当たっているのではないかと思うのです。

親米ポチ度0点、つまり反米ポチ(?)の耕ですが、アメリカ研究は結構好きです(笑)。

余談:そういえば親米ポチが反米保守のことを「きゃんきゃんうるさい反米スピッツ」なんて呼んでいたときもありましたね(笑)。
| URL | 2008/04/30 (水) 13:43:37 [編集]
アメリカで本当に保守というのはおそらくキリスト教プロテスタントの原理主義者(たとえば進化論を否定する人たち)だという指摘は正しいと思います。共和党の支持者のうち彼らの占める割合は馬鹿にならないらしいです。マッケイン氏は宗教観がかなりリベラルよりらしく宗教右派からは嫌われているみたいです。経済政策では共和党のほうがより自由主義的、民主党のほうが社会主義的といわれています。このあたりが右派=自由主義とする人たちに根拠を与えているみたいです。
jtake | URL | 2008/04/30 (水) 14:43:36 [編集]
「保守」という言葉が「伝統を重んじる」「伝統を大事にする」というのであれば、「保守」が守るべき「伝統」とは何か?ということになります。これは国それぞれに異なると言ってよいでしょう。

日本とヨーロッパの保守が似通っているのは、それぞれに歴史的連続性を保ち、その歴史そのものを「守るべき伝統」と定めている点にあると思います。

一方アメリカは世界中の移民を受け入れて成り立った国。それまでの歴史を断絶し、自らを自らの手で作り上げてきた「歴史」があります。つまり「進歩すること」自体が彼らの「歴史」であり、「守るべき伝統」と言えます。

故に、日米欧の「保守」が「伝統を守る」と言う点においては同じであっても、その守るべき伝統の方向性が違えば、保守が向かう先も違うと言うものではないでしょうか。

ま、ちょっとした言葉遊びになりますが。
かせっち | URL | 2008/04/30 (水) 21:29:40 [編集]
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| | 2008/05/01 (木) 23:50:40 [編集]
みなさん、レスが遅くなり申し訳ありませんでした。ちょっとバタバタしていまして。

>耕さん
アメリカの保守というのがあるとすれば、おっしゃる通り、プロテスタンティズムでしょうね、やっぱり。そう考えるとなおさら日本の保守とは違うわけですが・・・。アメリカ研究するとアメリカの問題点が見えてきて、こんな国の真似などしてはいけないと思うのが普通かと思うのですが、耕さんとは違って心奪わてしまう人も多いみたいですね。


>jtakeさん
私はアメリカの経済政策は民主党のほうがまともだと思いますが、次はマケイン氏のほうが日本としてはありがたいかもしれませんね。いや、逆にヒラリーみたいのが大統領になって、徹底的に日本を叩いてきたら日本人も目を醒ますでしょうかね?(過去の経験から言ってそれは無いか)

>かせっちさん
>「進歩すること」自体が彼らの「歴史」であり、「守るべき伝統」と言えます。

なるほど、その通りですよね。進歩主義が彼らにとっての「保守」という側面もあるでしょうね。面白い視点だと思います。


>鍵コメの方
どうもありがとうございます。さっそく拝見したいと思います。
管理人 | URL | 2008/05/02 (金) 08:41:11 [編集]
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